愛岐中央眼科愛岐眼科愛岐中央眼科愛岐眼科

角膜疾患

角膜疾患角膜疾患

CORNEA角膜

CORNEAL角膜疾患とはCORNEAL角膜疾患とは

角膜は目の表面に存在し、レンズ及び防波堤の役割を担っている組織で5層構造をしており、一般に「黒目」と呼ばれています。

透明であることが重要な器官で、細菌などから内部を守っていますが、障害により様々な問題が起こります。
代表的な角膜疾患についてご説明します。

CORNEAL DISEASES代表的な角膜疾患

角膜上皮障害

角膜の再表層に存在する上皮層の障害で、障害の程度から、点状表層角膜炎→角膜びらん→角膜潰瘍の3つに分類されます。点状表層角膜炎はコンタクトレンズを長時間装用されている方々によくお見受けしますが、上皮層の一部のみが欠損した状態です、ゴロゴロ感として自覚されることが多いです。角膜びらんは単純性と再発性に分けられますが、角膜上皮障害と言うと角膜びらんを指すことが多いので、単純性角膜上皮障害と再発性角膜上皮障害として分けてご説明します。

  • 単純性角膜上皮障害

    角膜上皮層がその基底膜の上までの範囲で欠損した状態でコンタクトレンズによる摩擦やケガ、ドライアイの他、溶接作業やスキー・スノーボード等の雪山レジャー等が要因となります。治療として人工涙液等の使用が推奨されます。

  • 再発性角膜上皮障害

    角膜上皮層がその基底膜に及ぶ範囲まで障害を受けた際に発生します。強めの外傷により上皮層基底膜にまで欠損が及ぶと、上皮が一旦再生された後でも、基礎成す部分において細胞間接着が不良となり、簡単な外力で上皮層が欠損してしまいます。治療として、ドライアイの頁でご説明しましたヒアルロン酸製剤やムチン関連製剤の他、ビタミン含有軟膏等により長期(半年程)にわたり外的傷害を緩和することが必要になります。

細菌性角膜炎

角膜に細菌が感染して発生する傷害で、細菌の種類により発症スピードや感染巣の形態に特徴があるので、抗菌剤を使い分けることになります。代表的な菌種に対する治療をご説明します。

  • ブドウ球菌、肺炎球菌

    角膜中間周辺部に円形の白い混濁が発生し、充血と痛みを伴い、やや緩徐に進行します。コンタクトレンズ障害やケガ等で発症し、治療には、病創部を掻爬した後、ニューキノロン系の抗菌点眼や必要に応じて消炎目的のステロイド点眼を使用します。

  • 緑膿菌

    急激に進行し、円形で大きめの障害が発生し、感染巣がボーマン膜を超えて実質層まで及ぶ潰瘍に至りえます。疼痛の他、多量のめやにを伴い、やはりコンタクトレンズ障害を原因とすることが多いです。治療は急を要し、ニュ-キノロン系・アミノグルコシド系の抗菌点眼の頻回使用をします。

緑膿菌緑膿菌

ヘルペス性角膜炎

単純ヘルペスウイルスによる感染症です。ほとんどの方は幼少時期にヘルペスウイルス感染し、三叉神経等の神経組織に潜伏され続けることになります。その後、免疫状態が低下した場合に表在化しますが、角膜で発現した状態をヘルペス角膜炎と呼びます。

ヘルペス性角膜炎ヘルペス性角膜炎

免疫状態低下の原因には精神的・肉体的ストレスの他、加齢や糖尿病等の疾患があげられます。口腔内で発症するヘルペス性の口内炎と同様に免疫状態に左右されるため、繰り返すことがあります。充血、眩しさの他、視力の低下を自覚します。片眼のみに発症し、特徴的な角膜上皮障害(樹枝状のびらん)を呈しますので、それを確認しましたら特効薬による治療を開始します。治療にはアシクロビル眼軟膏の他、消炎点眼を用います。また、傷害が強い場合はバラシクロビル内服等も併用します。

アカントアメーバ角膜炎

アカントアメーバは土壌や沼等に広く生息する微生物で日本では広く分布しています。水道水にも含まれていることがあるため、コンタクトレンズを水道水で保存をしていると保存容器内でアカントアメーバが繁殖することがあります。

アカントアメーバで汚染されたコンタクトレンズをドライアイ等で角膜上皮障害が発生した目に装用すると発症しうります。充血の他、強烈な痛みを自覚し、角膜浸潤による霧がかかった見え方を自覚します。
特徴的な上皮障害(三叉神経線維に沿った放射状の角膜炎)を呈するので、それを確認したら確定します。治療はナタマイシン点眼の他、消毒薬のクロルヘキシジンを使用します。治療が遅れると病巣が遷延化しますので早期の診断確定が必要です。

アカントアメーバ角膜炎アカントアメーバ角膜炎

真菌性角膜炎

カンジタやアスペルギルス、フサリウム等の真菌(かび)が角膜に感染した状態を指します。ヘルペス感染と同様に免疫力が低下した時の他、樹木等で角膜を怪我した時に発症します。異物感と充血を自覚し、めやにを伴います。ゆっくり進行し、感染巣が広がると角膜が濁るため視力低下を自覚します。診察では、輪郭が不鮮明な角膜の白濁と充血を認めます。治療はナタマイシン点眼の他、点滴で用いられている抗真菌剤を点眼薬として使用することや、状況に応じて抗真菌剤の内服を併用します。足趾等に発症する真菌症の水虫と同様に長期の治療を要します。

円錐角膜

角膜実質層のコラーゲン線維がもろいことで角膜がドーム状形態を保つことが困難になり、頂点が下方にたるむと共に薄くなって、円錐状に前方突出していく病気で遺伝やアトピー性皮膚炎等が原因となります。10歳台の頃より発症し、20歳台から30歳代にかけて進行し、強い乱視が発生することから、眼鏡での矯正が困難になることで発見されることが多いです。また、病変が進行して角膜が極端に薄くなった場合に、デスメ膜層の破綻から急激な見難さと痛みを自覚することがあります。治療として、初期は薄くなった角膜を物理的に保護する目的でハードコンタクトレンズの装用とヒアルロン酸製剤点眼を併用し、やや進行した場合は専用形態のハートコンタクトレンズを装用します。重症化した場合は角膜移植術を検討することとなります。また、保険外診療ではありますが、角膜クロスリンキング(角膜にビタミンB2を点眼しながら特殊波長紫外線を照射し、コラーゲン繊維を架橋:クロスリンキングして角膜を固くして進行を抑える治療)や角膜内リング挿入術(角膜実質内に特殊なプラスチック製リングを挿入して形態改善や維持を図る方法)があります。

角膜変性症

角膜は透明性を保つことが至上命題である組織ですが、変性・混濁していく疾患を指し、多くは遺伝性です。
代表的な疾患のご説明をします。

  • 顆粒状角膜変性症・アベリノ角膜変性症

    顆粒状の混濁が実質に発生し、加齢に伴いゆっくり視力が低下します。常染色体優性遺伝で重症化する方は極少数で、最も多い角膜変性疾患です。

  • 格子状角膜変性症

    顆粒状より視力低下の自覚が強く、再発性角膜上皮びらんの原因となりえます。

  • 斑状角膜変性症

    角膜実質内に異常代謝産物(ムコ多糖)が沈着して淡い斑状となり、ゆっくり進行します。

  • 膠様滴状角膜変性症

    角膜上皮面に異常代謝産物(アミロイド)が付着して不正乱視を生じ、眩しさや視力低下を自覚する他、再発性角膜びらんの原因となりえます。

  • フックス角膜内皮変性症

    中高年女性に発症し易く、角膜最内層が滴上に変性し、強い視力障害をきたします。

  • 帯状角膜変性

    本疾患は遺伝疾患ではなく、ボーマン膜にカルシウムが沈着することで発生する角膜障害です。腎不全等の高カルシウム血症を伴う疾患や慢性的な角膜炎症の持続で発症し、特殊な溶液で除去することが可能です。