愛岐中央眼科愛岐眼科愛岐中央眼科愛岐眼科

緑内障の治療

OBSERVATION経過観察

厳密に言うと、これは治療ではございません。
緑内障診療についてでご説明した高精細な画像診断上では視神経障害が認められるも視野検査の結果としては障害が不明確である場合を「前視野緑内障」と呼び、眼科医ごとに治療判断が分かれるところです。当院では、ご家族の履歴や他の疾病状況・患者様の意向を伺い、眼科特有の治療開始とするか否かの決定をしております。この際、最も重要視するのが現状のご説明をさせて頂いた上で伺う患者様の意向ですが、経過観察を望まれた場合はそれを優先し、まずは心身ともに健康的な食生活・運動・睡眠をとって下さるよう進言しております。半年から1年後位の再検査をお勧め申し上げ、再検査をして取得した結果を対比し進行が認められる場合に治療開始をお勧め申し上げております。

01EYE DROPS点眼治療

眼内の房水圧を点眼剤により下げることを目的として行い、大きくは「房水の産生抑制する薬」と「房水の流出量を増やす薬」に大別されます。目の構造や緑内障発症要因には個人差が存在するため、前述した検査や背景をもとに個々人にあった点眼剤を選択することとなります。ここでは当院で現在主に使用している代表的な5系統の薬剤のご説明をします。

プロスタグランディン製剤

プロスタグランディン製剤プロスタグランディン製剤

房水を流出を促す薬剤の代表格で最も効果が高く、第一選択薬として用いています。通常、主に房水は虹彩の前側より排出されますが、この薬剤は後ろ側に相当する「ぶどう膜強膜流出路」というところからの排出を促します。全身に対する副作用はほとんどございませんが、まつ毛が太くなったり、眼球周囲色素沈着、充血等が発生しやすいです。 製剤名:タフルプロスト(タプロス®)、トラボプロスト(トラバタンス®)、ラタノプロスト(キサラタン®)、ビマトプロスト(ルミガン®)、オミデネパグ(エイベリス®)

交感神経α2作動製剤

交感神経α2作動製剤交感神経α2作動製剤

房水産生抑制と流出促進により眼圧下降促すことの他、視神経保護効果も期待される点眼剤である。副作用として、1割強の方に結膜や眼瞼縁にアレルギー反応がおこり得ます。製剤名:ブリモニジン塩酸塩(アイファガン®)

ROCK阻害剤

ROCK阻害剤ROCK阻害剤

房水流出促進を促す薬剤で、生理的な流出経路の流出路の拡大を促して眼圧下降させます。副作用として充血の他、1割強の方に結膜や眼瞼縁にアレルギー反応がおこり得ます。製剤名:リパスジル塩酸塩(グラナテック®)

交感神経β遮断剤

交感神経β遮断剤交感神経β遮断剤

房水産生を抑制する代表的な薬剤で、他剤で問題となる局所症状(充血、アレルギー、色素沈着)等発生しないため使い心地は良く、他剤に添加した形態で使用することが多いです。副作用として脈拍減少や気道収縮を促すことがあるため、心臓疾患や呼吸器疾患をお持ちの場合は使用しません。製剤名:カルテオロール塩酸塩(ミケラン®)、チモロールマレイン酸塩(チモプトール®)

副交感神経作動剤

副交感神経作動剤副交感神経作動剤

虹彩を収縮させることで生理的な流出路の拡大を促して眼圧下降を促します。当院では主に特定の緑内障手術加療後に一定期間使用しております。副作用は瞳孔が小さくなることにより、視界が暗くなることの他、炎症反応が発生することがあります。製剤名:ピロカルピン塩酸塩(サンピロ®)

配合点眼剤

配合点眼剤配合点眼剤

点眼回数を減らす目的で作成された、2種類の点眼剤を配合した製剤が数種類ございます。

02LASERレーザー治療

広義の手術加療の1つですが、メスを使用する観血手術と比較し侵襲を最小限に留める非観血手術の1つです。
上記各種点眼剤を使用しても進行制御が思わしくない場合や点眼剤による副作用・妊娠等で点眼剤の使用がためらわれる場合の他、認知状態により点眼剤継続が不可能な場合等に出番となります。

選択的レーザー線維柱帯形成術(selective laser trabeculoplasty)

角膜と強膜の境界付近に存在し、生理的房水流出路においてフィルターの役割を担う線維柱帯に低エネルギー短パルス波レーザーを照射し、同部位のメラニンだけをレーザー処理して房水流出抵抗を減らし、眼圧下降を促します。7割前後の患者様に効果が得られ、奏功すると眼圧が2~6mmHG程下降します。的確な治療を行えば、10分程で完了し組織破壊を伴わないことから合併症のリスクは極限られます。また、メラニンが再蓄積して眼圧が再上昇した場合に再度照射することも可能です。

LASERレーザー治療LASERレーザー治療

03SURGERY手術治療

ここではいわゆるメスを使用した観血手術についてご説明します。
点眼剤の各種使用にも抵抗して視神経障害が進行する場合に選択します。
手術技術や機器の進化により各種治療法が開発されていますが、以下に代表的な2つの手術方法について述べます。ただこの方法も日々発展していることから、細かなバリエーションは多岐に渡ります。

線維柱帯切開術(トラベクロトミー)

線維柱帯切開術(トラベクロトミー)線維柱帯切開術(トラベクロトミー)

角膜と強膜の境界付近に存在し、生理的房水流出路においてフィルターの役割を担う線維柱帯を切開して房水流出の抵抗を減らす術式です。当院では排水の流通管であるシュレム管の外壁を開放するシヌソトミーを主に併用しています。最近では同手術をより低侵襲で行うことを目的として、白内障手術(水晶体再建術)と同時に眼内よりアプローチするマイクロロトミーが発展しMIGS(minimally invasive glaucoma surgery)と位置付けられ、当院でも積極的に取り入れております。

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)

強膜を弁状に切開して新しい房水の排出路を白目と黒目の接する場所につくります。さらに、排出した房水を一時的に貯めるプール(ろ過胞)を結膜で作成し眼内の水をこのプールに逃がして眼圧を下げます。効果は絶大ですが、侵襲が大きく、術後管理に注意を要するため最後の手段と位置付けられます。

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)